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田舎に家を買って、新しい生活を始めました。


An old brick house with over-grown yard.
契約を終えて鍵を渡された日の写真。庭はまるでジャングル状態!

しばらくご無沙汰していました。ココマスダです。


私は8年前に父を亡くし、今年の4月の末に母も亡くした時には、


「これからは親無しで生きる新しいチャプター。この人生も終わりが見え始めたから、後悔しないように生きなくては。」


と思いました。


私は19歳で、アメリカ好きの父に留学をさせられ、大学を卒業しても帰国せず、それからは米国を自分の居場所として人生を切り開いてきましたが、私の中で親の存在は多大でした。若い頃は親を悲しませないために道を外さず、親を喜ばせるために手がけた仕事も多かったのです。何歳になっても、私の親は素敵なパパとママ。ふっとした事で思い出しては時々メソメソしています。


そして、このブログの読者はご存知の通り、私は去年から不動産購買熱にかかっていたのですが、6月30日に、やっと田舎の一戸建て不動産の契約が締結できました。


私の不動産投資の第4件目です!


この家は、マンハッタンから車で北に約2時間半、ニューヨーク州のアップステートのコぺークという町にある、プライベートのレーク・コミュニティーの一軒です。


ここ1ヶ月ちょっと、ほとんど仕事を休み、連れ合いのスティーブはもちろん、娘や彼女の友達も手伝ってくれて、もちろんローカルの大工さんや他のサービスも雇って、先ずはなんとか住める状態にするために忙しくしていました。


この家への購買オファーが受け入れられてから、現金で買ったにもかかわらず、契約の締結までに約4ヶ月かかりました。後で理由を書きますが、「購買契約が締結できたのはほぼ奇跡ですよ」と売り手側の弁護士が言ったほど難しいプロセスだったのです。


コロナ禍で自然が恋しくなり、バケーションレンタル経営にも興味を持ち始めて不動産探しを始めたのは去年の8月。候補のエリアは、最初はロングアイランド、その後は友人が農場を買ったばかりのニューヨーク州の北西部のサリバン郡、最後には、クリエーティブの友人の多くが別荘を持ち、自分も家を持ったことがあるアップステート地区(ニューヨーク市からは北、ニューヨーク州の中部)、でも今回はハドソン川の東側、と移っていきました。様々なエリアを知るために、物件を見るために、多くの週末に片道数時間の日帰りの旅に出ました。気に入った物件があれば、冬の間も吹雪でない限り内見に出かけました。行かれない週末は悲しくて、もろに中毒。緑あふれる季節でも、真っ白な雪景色でも、広大な自然の中をドライブしていれば幸せでした。


「Dwell」というモダンなインテリア・建築の雑誌のオンライン購読も初めて勉強に励み、夢を膨らませました。改築にはローカルな素材のみ、インテリアには日本の商品だけを使い、それをプロモートしてビジネスに繋げようか、落ち着いたら近くの田舎町で小さな店をやろうか。そんなことも考えていました。


約半年の間、3エーカーの土地も含む、3件の不動産に購買のオファーをし、入札合戦に負けました。



© huts.nyc

手頃な値段で気に入る家付きの不動産はなかなかないので、土地を買った場合はモダンなプレハブを建てる、という計画でした。Huts という、ブルックリンをベースにしたチームが考えた、プレハブではないけれども基本のテンプレートがある商品も検討し、資料を取り寄せて担当者と電話で話し、しばらくはこれでいこう、と思っていました。でも現在、土地の値段も建材も高騰しています。更地に井戸を掘り、浄化槽システムを導入し、電気を引く、となると馬鹿らしく経費がかかるし、新築の家に合う家具は全て新調しなければなりません。新しい家の固定資産税は高く査定される、という問題もあります。う〜む。


私は(もう?まだ?)62歳。残りの人生がどう転ぶか分からないので、不動産購入も改装も「将来売った場合に儲けが出る」ということを頭に入れて計画します。「これを終の住処にする」と思っては買いません。もっとトロピカルな土地に移るとか、ノーマッドになって仕事をしながら旅行する、とか楽しい可能性もありますが、最悪の事態も考慮に入れます。私の母の最後は「寝たきり」でしたから、母を看取った際に、「自分も寝たきりになったとしたら、アメリカにいるよりも、日本の介護付き老人ホームの方が絶対に良いな。」とも思いました。理由は気配りの細かさと食事。そうしたら、帰国してプライベートの老人ホームに入る資金を作るために家を売る、という可能性もあるでしょう。


その結果、地下もあるシンプルな中古の家を買って直した方がコスパがいいし、プロジェクトとして楽しいし、コストを数年に分散できるのもプラス、という結論に至りました。


それと、眺めが最高で広大な土地にポツンと建っているモダンな家に住むアイディアは素敵でも、「私はそれで幸せか」と考えると答えは「否」。家が完成して泊まれるようになったら、最初の晩に後悔するでしょう。夜は外が真っ暗な土地に建っているガラス張りの家なんて怖くて住めません。現在連合いがいても、将来ひとりになる可能性も大。


一月に家族でハワイに旅行したときに、痛感したことがあります。住まいがどんなに素敵でプールなどのアメニティーがあっても、私は出たがり屋。バーやレストランやお店など、人が集まっている場所に時々出かけることが必要な性格。近くに小さくても素敵な町があることが必要です。私は結局、(少なくとも今は)「都会人の田舎暮らし」を求めている訳です。自分には正直でなくてはなりません。


と、計画は色々と変わっていきましたが、田舎に家を持って、自然と触れ合える生活をし、仕事も次の可能性を追求したい、という思いは加熱する一方。


不動産を探すことに夢中になってビジネスを疎かにしていたし(仕事が入ればちゃんと対応していましたが!)、そろそろ諦める潮時かな〜と思い始めた2月に、Zillow.com でこの物件のリスティングを見ました。アップステートでは雪が降り続けている時期でした。リスティングによると、英語で"Pre-foreclosure" という、銀行の差し押さえの手続きが完了する前のややこしい状態の物件。後でわかったのですが、元のオーナーはご老人夫婦で、ローンを払い終わる前にお二人とも亡くなり、子供は5人いたようですが、そのうち3人もすでに亡くなっていて、残りの子供たちに連絡がつかないのか、興味を持ってもらえなかったのか、家は4、5年空き家状態で放置されていたようです。


リスティングの写真を見る限り、う〜んボロ屋だな〜、改装するのは大変かな〜、とは思ったのですけど、強く惹かれるものがありました。そう、私は小さな平家に惹かれるのです。簡単にモダンに改築できそうだから。リスティングの写真を見ながら改装のビジョンが膨らみました。


私はレンガの家が好きな訳ではないのですけど、レンガの家だったら土台がしっかりしているだろう、とも思いました。おとぎ話の「3匹のこぶた」に書かれているではないですか。「三番目の子豚はレンガで家を建てる。狼はいくら息を吹き付けても、レンガの家を吹き飛ばすことはできなかった。」と!

そして、不動産屋さんと内見に行って車を降りて見た途端に、


「これだ!欲しい!」


と思いました。家には雪が積もり、辺り一面も雪景色の状態でした。


不動産購入では、屋根の状態を知ることがとても大切なのですけど見れない。庭の様子もわからない。でも、ラッキーなロケーションだ、ということだけはわかりました。と、いうのは、この家が建っている土地は、半エーカーにも足らず小さいのですが、小道の行き止まりにあるだけでなく、片側は広大な広野で家は建っていず、遠くに見えるのは山脈。眺めが最高なんです。

これも後で分かったのですが、この広野は、羊の放牧のために使われているそうです。いつもいるわけではないんですが、時々羊の群れが見られます。可愛い〜! 見えない時はどこにいるのかまだ分かっていません。


内見をした日に購買のオファーをする決心をしましたが、すでにデベロッパー(不動産の開発業者)からオファーが入っている、と不動産屋さんから知らされました。それも「検査なしでオッケー」の現金購買オファーだと。やっぱり!この家は、改装すれば高く売れる、というのは目利きならわかるでしょう。それもプロなら改装も楽にできるはず。コロナ禍で田舎に移住したい人たち、すぐに住み始めたい人たちはこういう物件は買いません。私は時間をかけて改装する覚悟です。大きな問題がなければ大丈夫。


私は「デベロッパーなら多分安く買おうとしている」と見て、いきなり売値におまけの千ドルを足した額で、それでも「住宅検査をした上で」の現金購買のオファーをしたところ、なんと受け入れられました。


やった〜!!!!!


しかしながら、住宅検査を実行するための期間はほんの数日、という厳しい条件付きでした。でも、不動産屋さんが地元のインスペクター(建物の状態を検査・調査する専門家) の予約を確保して雪が降る中で決行。その結果、屋根は古くて張り替えが必要だし、電気水道は通ってないから家についている家電は検査できない状態だし、色々と小さな修理は必要、ということがわかったのですけど、思った通り、土台はしっかりしているし、驚くほど良い状態、だということ。


この古い家を、21世紀の、心地良くエコで便利でモダンな家、それも立地を最大限に利用した家に生まれ変わらせる、というのが私のプロジェクトなので、修理の必要性は気になりませんでした。小さい家を選んだのは、私が注ぎ込める資金は限られているから。


以下は、改築計画のほんの一部です。

  • レンガにはペンキを塗らず、汚れを取るだけで残すが、他は全て黒の、メンテナンスが楽でサステナブルな素材を使う。(レンガには白いペンキを塗る改装法が主流だったのですけど、最近変わってきています。)

  • 屋根を勾配が高い切妻屋根に建て替え、発電機能を持たせた「テスラのソーラールーフ」で仕上げて太陽光線を電力にし、電気を使った暖房も検討。電気代、光熱費を無料にし、自家用車を将来電気自動車に変えたら自宅で充電するのがゴール。

  • 同時にテスラの蓄電器「パワーウォール」を地下に設置し、田舎にはよくある停電に備え、太陽光線が乏しい冬にも備える。

  • 外壁の断熱材は全てリニューアル。

  • 窓は全てエネルギー効率が高く、黒枠の窓に変える。

  • 家の右半分(キッチンとリビング)の天井はブチ抜いて、アーチ型の天井にし、新しい屋根には天窓を設置して自然光を取り入れる。

  • 家の左半分にはロフトスペースを設けて、ベッドルームか私のスタジオにする。

  • 広野に面した壁はエネルギー効率が高いガラス戸に変え、縁側を設ける。

  • 暖炉は、ムードはあってもエネルギー効率が非常に悪く、実は体にも良いとは言えないので、薪ストーブに変える。

そして、予算にまだ余裕があれば(多分無い。苦笑)、

  • 家の右にダイニングスペースを増設。外壁は黒。玄関をそちらに移す。

  • 玄関のデッキを横のデッキと繋げ、裏庭をぐるっと回って、広野側の縁側まで繋げる。

  • 裏庭には、小さなスタジオを離れとして増設。

上記は全てステージ2で、実行に移すのは来年以降。

今は、掃除、残されていた大量のいらないものの処理、カビの除去、そして水漏れを防ぐ修理をしたり、電気、水道を整え、洗濯機と乾燥機を設置してもらい、自分たちで出来るペンキ塗りをしたりするステージ1。これが終わったら、一応安心して住める状態にはなるはず。家具の購入も始めました。この家には出来るだけ、アメリカ製と日本製の物を揃えたいと思っています。


ではでは、今日はご報告まで。続けてインテリアや庭をご覧にいれますね。


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