1992年、ボストンコモン公園で。
"You ruined my life!"
「あなたは私の人生を台無しにしたのよ!」
私は1番目の夫と結婚式をあげた翌日に、心の中でそう彼に向かって叫んでいました。
30年も前、私たちが住んでいたボストンの結婚式に来てくれた私の父が、
"I have something to discuss with you."
「君と話したいことがあるんだ。」
と言って元夫を散歩に連れ出した後でした。
はい、父は英語が話せました。
帰ってきた父は、私に嬉しそうに言ったのです。
「いやぁ、お前はいい男性を選んだよ。
結婚祝いに家を買ってあげようと思って、ニューヨークの郊外のウェストチェスターなんかどうかい、
って持ちかけたら、彼がこう言ったんだよ。」
「ありがとう、マイク。気持ちは嬉しいですが、
ココは僕が面倒をみますから、住まいのことは心配しないでください。」
*マイクは父の英語のニックネームでした。
はっ〜?!
私は心の中で絶句しました。
彼が私の面倒をみる、ってどうやって? どうやって私に家を買うの?
だって、フリーランスのイラストレーターだった1番目の夫の収入は、私の当時の収入に比べて微々たるもの、ニューヨークやボストンの郊外で家を買う頭金にするような貯金も持ってなかったのです。
父は、兄が結婚した時のお祝いに、実家に近い洗足池の駅の近くの1LDKのマンションと車を贈りました。
なので、私も結婚したら、車と住まいを買ってもらえるのだろうな、と期待していました。
実際に、結婚祝いに車は買ってもらえました。
全く私の趣味ではない、運転したいとは思わなかった車だったのですが。
確か結婚式の直前だったと思います。
父が、「行くところがあるから一緒に来なさい。」と言って私たちを連れて行ったのは
ボストンの郊外の日産自動車のディーラー。
そして、父が嬉しそうに見せたのは、
光沢があるパールホワイトのマキシマ。
インテリアはなんと、深いワインレッドのベルベットシート!げっ、ダサっ!
でも「新婚の若奥さま」が運転しそうなファミリカーだったことは確か。
これって「私」じゃない〜。
こんな車運転するの恥ずかしい〜。
私はクリエーティブなのですから、BMWの古い中古車かなんかの方がずっと良かったし、
値段だって安かっただろうに〜、
どうしてどういう車が欲しいか聞いてくれなかったのかな〜、と残念に思いました。
いつも自分が良かれと思った通りに行動した父。
人の好みや要望などを聞かないでいつもお節介な親切をして、
感謝されなかったどころか疎まれることも多かった父。
私が持って生まれた性格は父に似ているので、私は父を反面教師として気をつけるようになりました。
そして、父とは基本的に敬語で話し、口答えはした事がない娘。
はっきり覚えてはいませんが、不満が顔に出るのをグッと我慢して、
「パパどうもありがとう! 素敵!」とか言ったのではないか、と思います。
贈り物の車を売って自分の好きな車を買う資金にする、ってことも出来たのでしょうが、
そんな不義理は出来ず、田舎に家を買ってからSUV車に買い替えるまで何年も乗り続けました。
走り心地はとても良く、雪道にも強く、数年後に事故った時に、車はかなり痛んだのに、私がほぼ無傷で済んだ時には「パパが選んでくれた車が守ってくれたんだ!」と思ったものです。
この話を読んで、「どんな車だって、新車を買ってもらえただけいいじゃない! 文句を言うなんて贅沢!」と思う読者も多いと思います。最もです。
後年金銭的に苦労した時に、本当にそう思いました。
家を買ってもらえなくなった時のことに話を戻しますね。
普通の娘だったら父親にこう言ったでしょうね。
「パパ、違うのよ!彼にはそんなお金はないの。
パパが買ってくれないと困るのよ。」
そして、冒頭のように夫を罵倒したり、泣いて文句を言ったかもしれません。
自分の娘である私の思いを聞かないで、男性である元夫に話を持ちかけた父ももろ男尊女卑!
でも、「男は立てないといけない」と、私たち姉妹が「明治の女」と呼んだ母に言われて育った私でした。
私が夫として選んだ男性を父が気に入ってくれたのを嬉しく思おう、と頭を切り替えたと同時に、
現実的ではなかったとしても、父が家を買ってくれる、というオファーを断り、
「僕がココの面倒をみるんだ。」と思ってくれた男らしい男と結婚して良かった、
「しゃあない、自分で稼いて買うしかないか〜。」と諦めたのでした。
そして約1年後、私は自分で稼いだお金を頭金にして、30年ローンを組んで、ボストンの一等地、
バックベイの端っこに2LDKのマンションを買いました。私の不動産投資第一号です。
過去のこと、嫌なことはさっさと忘れてしまう私なのですが、パンデミックになって、いつ死ぬかもわからないし、古い書類を整理してしまおうと思い立ち、記録として取っておきたい書類はスキャンしてからシュレッダーにかけ、必要がない書類はゴミに出したりしているうちに、そして前回の投稿でウッドストックの別荘のことを書いたりしているうちに、次々と記憶が蘇ってきたのでした。
今更〜ですが、ま、こんなこともあったのさ、ということでさらけ出しておきますわ。
次回は 「男たちによって狂わされた私の資産:その2」
お楽しみに。
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