ニイゼキ・ヒロミという本物のアーティストへ尊敬を込めて


A tiny artwork I own from her Gum Heart series. @Niizeki Hiromi


こんにちは。ココマスダです。


コロナ禍と、ここアメリカでは大統領選挙戦に翻弄され続けた今年ですが、早くも師走になってしまい、私が苦手な長い冬が訪れました。


ここのところ雨の日も多くて気分が沈みがちな土曜日に、アーティストで友人のニイゼキヒロミさんの訃報をインスタグラムで知りました。


現代らしい訃報の伝わり方です。元ご主人で(闘病に入る前にお別れになったとヒロミさんから聞いていますが、法的にどうなっているのかは知りません。)ご自身もアーティストの前原邦彦さんと息子さんのユイ君の、ヒロミさんのアカウントを使っての英語の投稿だったので、「生前にログイン情報をシェアしておいたのだな。良かった。」とこれまた現代らしい事に安心しました。フェースブック のヒロミさんのアカウントでは、英語と日本語の両方で投稿されていました。


新関ひろみは、11月22日に、ニューヨークの病院にて、肺腺癌により永眠致しました

尚,葬儀は故人の希望により行われません

生前のご厚情に感謝いたします

前原邦彦」

原文通りに丸はつけませんでした。)


この投稿で、ヒロミさんのお名前が「新関ひろみ」である事を初めて知ったのですが、彼女自身は NIIZEKI Hiromi (ニイゼキヒロミ) と名乗っていたので、ここではカタカナ名で続けます。英語の慣例に習って氏名を逆さまにしていなかったのはヒロミさんらしいです。


お通夜も葬儀もメモリアルもないのか。う〜ん、私も遺書でそう希望するはずだったのだけど、故人を惜しむ何らかのイベントってやっぱり大切なのではないか、と初めて思いました。それだけ私はヒロミさんの事が大好きだった、って事かもしれません。訃報を見直しても、今こうやってヒロミさんの事を書いていても、涙がボロボロ出てきます。


「どうしてあんなに元気で一生懸命生きていたヒロミさんがこんなに早く死ななきゃいけないの?」というのが私のストレートな感情です。たまにしか会っていなかった私がこんなに悲しんでいるのであれば、息子さんのユイ君がどんなに辛いか想像がつきません。


ユイ君は本当に可愛らしい(失礼)優しい息子さんで、休みには実家に帰ってこないほど大学生活を楽しんでいるのをヒロミさんはとても喜んでいたのです。家賃をシェアできる良いルームメートも見つけたから、初めて経済的な心配をしなくて良くなった、って。


ヒロミさんが肺癌にかかって闘病をしている事を知ったのは去年の秋でした。闘病中でも、いや、時間が限られている事を知っていたから、ヒロミさんはブルックリンで開催されていたグループ展にインスタレーションの作品を出展していて、私は共通の友人と一緒にオープニングに駆けつけました。その時のヒロミさんは思ったより元気で私たちを安心させました。「まだ一杯やる事があるから死ねないのよ。」と言って、闘病の事は隠すどころかブログでも書いてシェアしていたのもヒロミさんらしいです。


その後に病院にお見舞いに行った時も、思ったより元気な姿で私たちを迎えてくれました。あの時のヒロミさんは、まだ希望を捨てていなかったと思います。


私とヒロミさんは、子供たちが同じ日本人学校に通っていた15年ほど前に知り合いましたが、子供同士は友達ではなかったので、ママ友というより、子育てをしながら生活のために仕事をし、その上で自分がやりたい事をやろうとしている戦友同士、という感じで情報交換を続けていました。そういえば、私がグループ展に作品を出展する事になったチェルシーのギャラリー、George Billis Gallery を紹介してくれたものヒロミさんだったっけ。


ヒロミさんは真の前衛アーティストでファッション感覚もアーティストそのもの。いつも天然パーマをカラリングした髪の毛にグリーンやイエローのマニキュアをし、経済的に余裕があったらコム・デ・ギャルソンとか着ているのだろうな、という感じの女性でした。それでも以前はソーホーにあった Children’s Museum of the Arts で子供たちにアートを教えるなど、生活のための仕事もしっかりやっている女性でした。


私はヒロミさんよりファッション感覚がずっと保守的で、コマーシャルアーティストがファインアーティストもかじっている、というのが現実で、タイプとしては全然違ったのですけど、私たちの人生観には多大に通じるところがあって、お互いに認め合って何でも話せる仲だった、と思っています。やっと子育てが一段落してもっと会えるようになるはずだったのに、亡くなってしまったのは本当に悲しいです。


私にとってヒロミさんは、草間彌生や近年再評価されているルース・アサワと同じぐらいに偉大なアーティストです。もし生き続けられたら、いつか認められてブレークしていただろうと思います。いや、亡くなってしまったけど今後評価されるべきアーティストです。ヒロミさんの作品はインスタレーションが多いので、ちゃんとした画像が残っている事を願います。


ヒロミさんのウェブサイトは http://niizekihiromi.com/です。



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