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湿気とカビとの戦いと、連れ合いの執念。


断熱材を壁に挿入している大工さん。

こんにちは。ココマスダです。


お待たせしました! 田舎の家のリポートに戻ります。家を買った日の嬉しいサプライズでお話ししたように、床に関してはラッキーでしたが、今回は予期していなかった出費もあった話です。


今年の夏は本当に雨が多く、地元の人たちも呆れるほどでした。そして、台風「ヘンリー」が来た後に、大型台風「アイダ」が来て大洪水に見舞われた友人宅もあったのですが、この家は、連れ合いのスティーブの努力のお陰で、地下室にちょっと浸水しただけで済みました。


彼の湿気とカビに対する執念と執着は、彼が田舎に慣れるまで大変だったのです。


この家は、私が買うまで5年ほど空き家だったので、買った時には湿気が充満していてカビ臭っ! 特に地下室には床に水が溜まっている部分があっただけではなくカビ対策が必須だとわかりました。


そうそう、日本にお住まいの方はご存知ないかもしれませんが、アメリカの北部のほとんどの住宅には地下室があり、重油タンク、給湯器、加熱炉、送水ポンプなどが設置されているだけでなく、地下室を綺麗に改装して、追加のベッドルームやエンターテインメント・ルームなどにしている家も多いです。「クロールスペース」と呼ばれる、人が這えるぐらいのスペースしかない土台(基礎)の家も時々あるのですが、地下室を倉庫として使っている家も多く、この家もそうだったようです。地下室でも天井のあたりは地上で、細長い窓が付いていて光が入るし、非常時には出られるようになっています。


私は以前にも田舎に修繕が必要だった家を買って改修し、浸水と洪水、そしてそれに対する対策も経験していますし、何しろ湿気が高い国の出身ですからね、「まぁ最初はこんなものだろう。」と落ち着いたものだったのですが、彼は何しろ田舎生活を経験するのは初めて。一緒にハッピー!どころか、最初の頃は彼にとって何から何までが大問題で、ネガティブなエネルギーをギンギン発散して参りました。


「あのね〜、高級避暑地のハンプトンだって、夏には湿気が高くて、持っていった物はみなカビ臭くなっちゃうのよ。私は家がやっと買えて今最高にハッピーなんだからやめてくれないかな〜。ここにいるのが嫌だったら、綺麗になるまでマンハッタンに帰っていていいんだから〜」と言わざるを得なかったほど。


でも、「こんな危険な家にココをひとりで置いておくわけにいかない!」と勝手に使命感に燃えて、どうやって都会のマンションのような心地よい環境を手に入れられるか、と必死に調査を始めました。でも、アップステートでは、田舎生活を知らない無知なニューヨーカーを利用してどうやって儲けようか、と思っている(だろう)サービスで一杯。簡単に信用してはダメなのです。それをわからせるまでにも時間がかかりました。


カビ除去サービス、地階防水対策サービス等、3社に来てもらって(予約が取れるまで、そして実際に来てもらうまで時間がかかりました!)対策を相談し、見積もりを貰うことにしました。待っている間に買ったのは、窓用扇風機3台と家庭用では一番大型の除湿器2台。まだ家具はなかったので、昼夜窓は全開、扇風機も除湿器もつけっぱなしで1週間、近くの友人宅にお世話になりました。


加湿器は面白いほど水を吸ってくれて、作動開始当初には88%だった湿度が、数週間でメインフロアでは35%まで下がりましたが、地下室は60%をなかなか下らなかったです。今は50%にまで下がってくれましたが。


業者は3社とも、地下室の内側の壁沿いに排水溝を設置し、サンプパンプなるもので水を外に出す方法、そして家庭用ではなく、業務用のさらに大型の除湿器を推薦しました。3社の違いは、カビ除去もするかどうか、壁の処理もするかどうか、などで、見積額は、8,000ドルから21,000ドル!高い!


こんな大袈裟な対策は必要ないんじゃないの〜、と出費を渋り、ソーラールーフや増築などの楽しい計画で頭がいっぱいの私と、「この家の問題を解決しないうちに、どうしてそんな事が考えられるんだ!」と怒る彼。随分面倒な口論しましたよ。


その頃、やっと見つけたのが大工さんのデイヴィッド。今年はほとんどの大工さんが忙しすぎて雇えない状態なのにそれほど忙しそうでもない彼。腕はいいのかな〜、大丈夫かな〜、と心配したのですけど、ローカルの建築関係の労働者には珍しく、時間は守るし信頼できるし、仕事が綺麗でお値段も手頃。彼は、詩を書くことと写真を撮ることが趣味だそうで、私たちの感覚もわかってくれるので、このプロジェクトの頼れるパートナーとなりました。


さて、この家には浸水する問題スポットが幾つかあり、そのひとつが古い煙突の周り。その下あたりの軒裏と、その下の地下室の土台の木も腐っていて、煙突周りも含めて早速修理してもらったのですけど、スティーブとデイヴィッドで「煙突の下の壁の中はどうなっているのか心配だ、ちょっと穴を開けて見た方がいい」と言い始めました。私の方は「増築でいずれこの壁は壊すかもしれないんだから、今やらなくてもいいんじゃないの〜。」と渋ったのですけど、湿気とカビ問題を解決しないうちは落ち着けないスティーブに説き伏せられて、暖炉の右側の壁に穴を開けてみることを承知しました。


そうしたら、アチャ〜!湿気で断熱材の中身がぼろぼろに腐り、粉状になって床のあたりに溜まっている状態で、断熱材の中はスカスカ。断熱材がないのも同然です。これはいかん、暖炉の左側はどうだ、と少し開けてみると同じ状態。そしてあれよあれよ、と思ううちに暖炉周りの壁を全て取り外し、断熱材を交換することになっていました。


これは予期していなかった出費だし、スティーブがいなかったらやっていなかったことなのですけど、お陰で、いずれは外そうと思っていた筋がある壁は石膏ボードに取り替えることができてかなりの改善になったので、良かったのかな、と思ってます。ただ、残りの外壁の中の断熱材はどうなのだろう、という疑問が起きますよね。たまたまトイレのトイレットペーパーホルダーを外した時に、裏庭側の壁の中を見る機会がありましたが、その部分の断熱材はオッケーでした。


その後、カビ除去と地階防水対策に対してスティーブがやってくれたことは枚挙にいとまがなく、プロのサービスは雇わずに済んでいます。

地下室からカビに侵食されたものは全て取り除き、

はしごに登って軒樋(のきどい)に溜まった落ち葉とゴミを取り除き、

縦といを修理して水はけを良くし、

地下室の窓周りからの浸水対策を試行錯誤し、

カビの除去も試行錯誤しながら成功し、

メインフロアの屋内の壁は全てペンキを塗り替え、

現在は、お天気の良い時は庭仕事をしながら地下室の壁塗りを進めています。


家を買った当初はネガティブなエネルギーがギンギンでしたけど、田舎の生活に慣れてきたら予想した以上に気に入ったようで、4ヶ月目に入った今では、「田舎の生活の方がいい。」と言って幸せそう。彼を田舎に残して、私だけマンハッタンに戻ることもしばしば。


何度話し合っても、私に断ることなく色々と進めるのでちょっと困るのですが、私の方も彼に任せることに慣れてきました。お抱えのハンディーマンがいるようなものですからありがたいことだ、と。


彼、まだ引退はしていないのですけど、2年前から年金を貰い始めたし、すでにいるクライアントに頼まれる時だけ仕事をするので、私よりよっぽど自由に使える時間があるのです。この家のプロジェクトが新しい生きがいになっている感じ。


良かった、良かった。

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